読書短感想文 「木製の王子」「誘拐殺人事件」「螺旋館の殺人」
~異常なる奇作、読みやすい駄作、意外な拾いもの~
「木製の王子」 麻耶雄嵩・作 講談社ノベルズ刊
またも烏有(うゆう)青年がひどい目に遭う作品。
編集部の倉田光太郎&家族の信彦というネーミングが気になります。ネタバレになるから詳しく言えないんですが、このネタ偶然にも内容とリンクしているような感じです(単に他の編集部メンバーに合わせてのネーミングなんですが)。
店名『激竜神』。どこの世界にこんな合体ロボチックな店名をつける店主がいるんでしょうか。このシリーズの店名は狂いすぎです。
探偵・木更津悠也の周辺の人物も濃い。美川が男性になっているため、南が紅一点になるという改変はともかく、北斗に対する香月(今鏡姓に変わる前です)の感想は「白いマフラーが似合いそう」。どうしてこういう小ネタをやるんでしょうか。
作者が阪神タイガースのファンなので、登場人物の名称には選手名が使われており、詳しい人なら名前で犯人がわかるそうです。ていうか、犯人以前に「なぜ?」というミステリの根幹がいつものごとく飛ばしすぎです。
異常に狂った内容はこの作者ならではですが、まだ微妙に救いのあるラストです。
「誘拐殺人事件」 ヴァン・ダイン・作(井上 勇・訳) 創元推理文庫刊
駄作として有名な本作。
とはいえ意外と読みやすく、謎の提示もそこそこ。平易な作風は突出した部分のないクラシックな水準作として、読めることは読めます。物議をかもしたファイロ・ヴァンスが遺書を残して出撃(そのわりに危機感なく大活躍です)するくだりも、「古くささ」として自分としてはあまり違和感は感じませんでした。
とはいえ「ミステリ」としての感動は特になく。「ヴァン・ダインならでは」みたいな部分がない作風は誰にとっても魅力を欠いているのかも。読めるけれどわざわざ選んで読む価値はないという程度です。
「螺旋館の殺人」 折原 一(いち)・作 講談社文庫刊
乱歩賞を逃した「倒錯のロンド」について小説としての難は感じたのですが、パズラーとしてのゲーム性が強く印象に残りました。そして姉妹編「倒錯の死角(アングル) 201号室の女」では、格段の進化に驚愕しました。本作はそれらの作品の姉妹編で、シリーズの外伝的作品です。肩のちからを抜いて書かれたそうですが、実はバランスが良く読みやすい出来。スピーディで二転三転する展開は前2作以上の仕上がり。結末も作者らしいレベルで破綻なく。
まあリアリティを削除した、細部を描かないライトノベルのような軽みが嫌じゃなければ折原氏の入門編として最適かも。
「木製の王子」 麻耶雄嵩・作 講談社ノベルズ刊
またも烏有(うゆう)青年がひどい目に遭う作品。
編集部の倉田光太郎&家族の信彦というネーミングが気になります。ネタバレになるから詳しく言えないんですが、このネタ偶然にも内容とリンクしているような感じです(単に他の編集部メンバーに合わせてのネーミングなんですが)。
店名『激竜神』。どこの世界にこんな合体ロボチックな店名をつける店主がいるんでしょうか。このシリーズの店名は狂いすぎです。
探偵・木更津悠也の周辺の人物も濃い。美川が男性になっているため、南が紅一点になるという改変はともかく、北斗に対する香月(今鏡姓に変わる前です)の感想は「白いマフラーが似合いそう」。どうしてこういう小ネタをやるんでしょうか。
作者が阪神タイガースのファンなので、登場人物の名称には選手名が使われており、詳しい人なら名前で犯人がわかるそうです。ていうか、犯人以前に「なぜ?」というミステリの根幹がいつものごとく飛ばしすぎです。
異常に狂った内容はこの作者ならではですが、まだ微妙に救いのあるラストです。
「誘拐殺人事件」 ヴァン・ダイン・作(井上 勇・訳) 創元推理文庫刊
駄作として有名な本作。
とはいえ意外と読みやすく、謎の提示もそこそこ。平易な作風は突出した部分のないクラシックな水準作として、読めることは読めます。物議をかもしたファイロ・ヴァンスが遺書を残して出撃(そのわりに危機感なく大活躍です)するくだりも、「古くささ」として自分としてはあまり違和感は感じませんでした。
とはいえ「ミステリ」としての感動は特になく。「ヴァン・ダインならでは」みたいな部分がない作風は誰にとっても魅力を欠いているのかも。読めるけれどわざわざ選んで読む価値はないという程度です。
「螺旋館の殺人」 折原 一(いち)・作 講談社文庫刊
乱歩賞を逃した「倒錯のロンド」について小説としての難は感じたのですが、パズラーとしてのゲーム性が強く印象に残りました。そして姉妹編「倒錯の死角(アングル) 201号室の女」では、格段の進化に驚愕しました。本作はそれらの作品の姉妹編で、シリーズの外伝的作品です。肩のちからを抜いて書かれたそうですが、実はバランスが良く読みやすい出来。スピーディで二転三転する展開は前2作以上の仕上がり。結末も作者らしいレベルで破綻なく。
まあリアリティを削除した、細部を描かないライトノベルのような軽みが嫌じゃなければ折原氏の入門編として最適かも。
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